金沢の坂道コラム

金沢観光で訪れたい情緒ある坂道、町の変化を楽しむ坂道3選

金沢の坂道散策を楽しむポイントを問われたら、坂の上と下とで町の表情の変化を楽しむことを真っ先に挙げる。金沢の旧市街地はコンパクトながらも様々な表情を持ち、道一本違うだけで全く違う町にきたのではないかと思う時すらある。坂もまたしかり。坂道を登る前と登った後では町の表情が劇的に変わることがある。その代表的な坂を3つ紹介する。

1. 暗がり坂(くらがりざか)


暗がり坂

暗がり坂とは、久保市乙剣宮より主計町に通じる小路を指す。主計町は、明治期から昭和戦前期にかけて栄えた茶屋町である。尾張町界隈の旦那衆がこの坂を抜けて主計町やひがし茶屋街に通ったという。暗がり坂周辺散策をより趣深く楽しむには、事前に五木 寛之著『浅の川暮色』を読むことをおすすめする。若い新聞記者と、将来芸者になるべく主計町のお茶屋に入籍した少女との間に芽生えた愛への回想を綴った短編小説で、主計町という古い町のしきたりを垣間見ることができる。

暗がり坂の坂下


主計町の路地

主計町の路地


暗がり坂の坂下は、茶屋町裏側の細い路地だ。迷路のように入り組んだ路地は、城下町であったことの証でもある。

暗がり坂の坂上


久保市乙剣宮

久保市乙剣宮


坂上は、下新町。かつては、今も残る尾張町の一部であった。尾張町は、藩政期は金沢の経済の中心地であった。暗がり坂へ行くには、久保市乙剣宮の境内を通る必要がある。

暗がり坂の由来・地図をチェック


2. 石伐坂(いしきりざか)


石伐坂(いしきりざか)

石伐坂は、犀川にかかる桜橋を渡ってすぐにある寺町台地に通じる坂道だ。藩政時代から坂の上に職人町があったためこの名で呼ばれた(関連記事「石伐坂(W坂)周辺散策をより味わい深く。石伐職人の仕事内容と石の運搬方法を知る。」)。現在は、その見た目からW坂と呼ばれる。


石伐坂の坂下


犀川と広い河原

犀川と広い河原


坂下には犀川が流れる。川原が広く、ランニングや散策をする人を多く見かける。

石伐坂の坂上


寺町寺院群

寺町寺院群


坂を登り、大通りに出ると、寺町寺院群がある。江戸時代に一向一揆対策として集められたものだ。

石伐坂(W坂)の由来・地図をチェック


3. 美術の小径(びじゅつのこみち)



美術の小径は、中村記念美術館から石川県立美術館をつなぐ坂の散策路で、隣に辰巳用水が流れている。中村記念美術館から5分歩くと21世紀美術館がある。現代美術を収蔵した21世紀美術館と、伝統に重きを置く石川県立美術館。その間にあるこの坂道は、金沢でアートを満喫するための近道といってもいいだろう。

美術の小径の坂下


21世紀美術館(写真提供:金沢市)

21世紀美術館(写真提供:金沢市)


坂下には、中村記念美術館があり、そこから徒歩5分のところに21世紀美術館がある。

美術の小径の坂上


石川県歴史博物館

石川県歴史博物館


坂上には、本多の森公園があり、公園内に石川県立美術館、加賀本多博物館(3月まで休館中)、石川県立歴史博物館(3月まで休館中)、成巽閣、石川県立伝統産業工芸館、石川県立能楽堂がある。

美術の小径の由来・地図をチェック


まとめ


「金沢観光で訪れたい坂道、町の変化を楽しむ坂道3選」いかがだっただろう。町の変化は、坂道、路地だけでなく、時間帯や季節によっても現れる。これが、金沢の旧市街地散策をやめられない理由の一つでもある。紹介した坂道を旅の目的地の1つとする方が現れたらとても嬉しい。


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