フリーペーパー『RINNGO』最新号の特集内に金沢の坂道を取り上げた経緯を編集部の3人にお聞きしてきた。
フリーペーパー『RINNGO』は、金沢美術工芸大学の学生有志により発刊しているフリーペーパーだ。春・夏・冬の年3回、1000部ほど発行し、金沢美術工芸大学の他、金沢学生のまち市民交流館(金沢市片町)、学生経営バー 『テトラポット』(金沢市石引)などで入手することができる。
2015年5月16日発刊『RINNGO 春号』の特集内で金沢の坂道を取り上げた旨を編集部の方より連絡いただいたので、編集部の中から編集長の吉本 穂花さん、松田 菜生子さんなど3人(いずれも金沢美術工芸大学3年生)に最新号のテーマ、坂道を取り上げた経緯などをお聞きしてきた。
テーマは「金沢 七つの大罪」、学生が金沢で生活することは甘くないぞ!
今回で20号目となる『RINNGO』で編集長を務めた吉本さんは言う。「北陸新幹線が開業したことで、テレビや雑誌で金沢の特集が組まれることが多くなりました。そこでは金沢のよいところばかり取り上げられていますが、実際に生活するには大変なことも多い町だと感じています。そこで、学生が金沢で生活するには大変なことも多くて甘くないぞ!ということをテーマとして掲げることを編集部で決めました」。
編集部で企画を練る中で“学生目線の大変なこと"が7つ挙がったことから、テーマを「金沢 七つの大罪」とした。新幹線に乗れないひゃくまんさん、消雪パイプ、はやく閉まるお店、悪天候などとともにやり玉にあがったのが「坂道」だ。生活する中で否応なしに登り降りしないといけない坂道。主な交通手段が徒歩や自転車の学生にとっては、坂道の多さはまさに“大罪"だ。
しかし、坂道のことについて調べていく中で、趣深い坂や名前のおもしろい坂があることに松田さんは気づいた。そして、実際にいくつかの坂道に足を運ぶ中で、個々の坂道について知ってもらうことで、登るのが苦しいというイメージしかなかった坂道を楽しもうという考え方に転化してもらえるのではないかと考えた。見開き2ページの中で取り上げた坂道は、暗がり坂、あかり坂、美術の小路、亀坂の4つ、松田さんセレクトの趣深い坂4選である。亀坂が選ばれている点、金沢美術工芸大学の学生ならではである。
特集以外の金沢の大学生3人が「七つの大罪」を語るという対談企画でも坂道の話題が出ている。そこでは、坂道を登ることで消費できるカロリー数を書いておけば、より能動的に坂道を登ることができるのでは?といったアイデアなどが出て、「坂はいろいろなことに活用できる」という結論でまとまっている。坂を見る視点がおもしろい。
大学生活をちょっと楽しくする小ネタを提供する
『RINNGO』のビジョンについて、吉本さんは語る。「編集長が変わるごとにビジョンが少しずつ変わっているのですが、私たちは“大学生活をちょっと楽しくする小ネタを提供する"というビジョンを掲げていました。最新号も発刊から1週間を経過し、読んだ感想を直接聞いたり、Twitterで見かけたりしました。反響のあることがとても嬉しいです。企画・編集作業は大変ですが、頑張ってよかったなと思う瞬間でもあります」。
この春号がでたことで3年生は編集部を引退し、あとは後輩に運営を託す。自らが編集を行う最後の号の発刊直後とあって、今は寂しさよりもやり遂げた充実感の方が強いと3人は笑う。編集部の思いの詰まった『RINNGO』、ぜひ冒頭で紹介した入手スポットにて手にとって欲しい。
最後に編集長による編集後記(イラストつき)を転載する(許諾済)。