坂学会理事、井手 のり子さんに金沢の坂道を案内 ― 起伏に富んだ地形を体感できる坂道巡りルート

写真1.井手さん夫妻(右)に金沢の地形について説明する壺中人さん=宝泉寺で
坂学会理事で事務局を担当する井手のり子さん(東京)から、「坂巡検」の下見を兼ね金沢の坂道の状況視察をしたい旨連絡があった。金沢の坂道コラムニストの壺中人さんに加わってもらい、初夏を思わせるいち日、一緒に案内した。当日は写真の通り快晴!青空のもと、坂道巡りを存分に楽しんでいただいた。
坂学会とは
坂道を文化資産として認識し、坂道をめぐる歴史や文化を探求し、これを社会に広めることによって坂道愛好者に資するとともに、これらの活動を通じて坂道愛好者の増加をはかり、「坂道」への社会の理解・関心を高める(「坂学会発足宣言」より)ことを目的に発足した学会。将来的には「坂道学」を確立することを目標としている。井手さんは発起人の一人で、理事のほか、坂道に関する執筆や生涯学習講座の講師を務めるなど積極的な活動をされている。
起伏に富む地形を体感-坂道巡りルート
2時間ほどの短い時間だったので、今回は車を使ってご案内することにした。
最初に帰厚坂に行き、車からおりて坂道を登った(写真2)あと、再び車で卯辰山の見晴らし台へ(写真3)。金沢の旧市街地を見下ろしながら、独特の地形について説明した。金沢が三つの台地(卯辰山丘陵地、小立野台地、寺町台地)と二つの河川(犀川、浅野川)からなり、複雑で高低差に富む地形だということを説明するにはもってこいの眺望スポットだ。

写真2. 『サカロジー』で「プロポーズするなら…」と紹介された帰厚坂を歩く

写真3. 卯辰山の見晴らし台からの眺望
次に向かったのが『サカロジー-金沢の坂』(時鐘社新書)著者・国本昭二さんのお墓のある宝泉寺。クリの木でできた個性的なお墓にお参りし、境内の眺望スポットへ(写真1)。ここでは卯辰山見晴らし台からの眺めを町中に移してズームアップしたような眺望が楽しめる。このあと金沢の地形を体感していただくべく、浅野川を渡り小立野台地へ、犀川を越え寺町台地へ、と車を進めた。宝泉寺で多くの時間を割いたため急ぎ足の案内となった。
今回の案内ルート
- 帰厚坂(写真2)
- 卯辰山見晴らし台(写真3)
- 観音坂(車で通過)
- 子来坂(車で通過)
- 宝泉寺(写真1)
- 木曽坂(車で通過)
- 石引通り(車で通過)
- 白山坂(車で通過)
- 桜坂(車で通過)
- 寺町寺院群(車で通過)
- 長町武家屋敷跡
(所要時間:2時間ほど)
※ 前日に「暗がり坂」と「あかり坂」は訪れたとのことだったので、今回のルートからは外した。
井手さんからも、坂学会の活動や、全国の坂道「巡検」、東京の坂の洒落たネーミングなど豊富な話題提供があった。地域の坂道への関心がますます高まり、今年はどこかへ遠征に行こうと心に決めた。坂学会ウェブサイトには全国の坂のプロフィールや会員による寄稿記事がどっさり紹介されているので、じっくり拝見して遠征先を決めることにしよう。